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熟練重機オペレーターの頭の中

バックホウ運転席(横ショット)

熟練オペレーターの動きは、なぜ“美しい”のか?

思わず見とれてしまうようなショベルカーの動きに出会ったことはないでしょうか。

 

ショベルカーを人間の手や腕のようにスムーズに動かし、みるみるうちに掘り進めていく様子。派手さはないのに、なぜか目を奪われる。そんな経験が私にはあります。

 

オペレーターに話を聞いてみると、私が見とれたあの「美しさ」は、単純に操作が上手いという一言では片づけられない気がしてきました。

 

では、その正体は何なのか。


私見ではありますがお伝えしたいと思います。


オペレーター⋯ショベルカーの運転手のことをオペレーター(または単に"オペ")と呼びます。

美しく見えるオペレーターの共通点

熟練オペレーターの動きを観察すると、いくつかの共通点があります。

 

・動きがなめらか

・動きにムダがない

・動きのテンポが良い

・作業の進みが早い

 

しかしこれらはどれも美しさの根本的な要因ではなく、あくまで「結果」として現れている特徴だと言えるでしょう。

私は、美しさの要因は熟練オペレーターの頭の中にあると感じています。

実は“操作の前に考えている”

熟練オペレーターは、レバーを動かす前からすでに次の展開を頭の中で組み立てています。

 

たとえば、こんなことです。

 

・どこから掘り始めるか

・どの順番で掘るか

・掘ったらどこへ置くか

・ダンプはどのペースで戻ってくるか

・掘った後はどう使われるのか


常に「次、その次」まで見えています。

 

だから、動作に迷いがありません。

 

そして、迷いがないから止まらない。止まらないからリズムが崩れない。

 

その結果として、私たちが「美しい」と感じる動きが生まれるのだと思います。

「考える力」と「操作技術」の両方が必要

ただし頭で考えたことも、優れた操作技術が無ければ、実際に機械に乗って再現することはできません。

 

止めたい場所でピタッと止める/思い描いた軌道でブーム・アーム・バケットを意のままに操る/一度で取りたい量をすくいとる。など

 

こうした動きは、経験に裏打ちされた操作技術と言えるでしょう。

 

つまり、

 

先を読む力⋯(頭)

それを再現する技術⋯(手)

 

この両方がそろって初めて、あの“美しい動き”になると、私は考えます。

「迷い」が動きを止める

一方で、その場その場で判断しながら動くとどうなるでしょうか。

 

・どこから手をつけようか迷う

・土砂の置き場をその場で考える

・ダンプが来てからどう積むか考える

 

こうした小さな“迷い”や“停止”が積み重なり、作業全体のリズムが崩れていきます。

 

結果として、動きはぎこちなくなり、作業スピードも落ちていきます。

「奥から積む理由」で知ったこと

以前、現場の管理経験もありショベルカー歴13年のオペレーターに、ダンプ積み込みのコツを聞いたことがあります。

 

返ってきた答えはこうでした。

 

「コツというほどじゃない基本だけれど…”ダンプに土砂を積むときは奥から積んでいく”かな。」

 

最初は「そうなんだ」と軽く受け取りました。

 

しかし、なぜ奥からなのかと聞くと、次から次へと知識が出てきました。

 

・奥から積むのは土砂や砂利のような細かい素材のあくまで一般的な積み方である

・奥に積めば2回目あける時に1回目にあけた山を均しながら積めるため効率がいい

・大きな岩がある場合は積み方を変える

・土砂は大小の粒が混ざっているためあけた時の崩れ方を考えている

・ダンプ荷下ろし後の土砂の用途まで考えている

・川砂利だと跳ね返りを抑えるためにバケットのあけ方も注意する

 

奥に積む理由や、全てそうするわけではないことなど、たくさんの知識を受けて、私は正直、「そこまで考えているのか!」と驚きを隠せませんでした。

“工程全体”や“流れ”を見ている

この経験を通じて感じたのは、熟練オペレーターは「目の前の作業」や「レバー操作」だけを意識しているわけではないということです。

 

・あけた土砂の動き

・次の動作

・次の工程

・周りの人の動き

・作業全体の流れ

 

そこまで含めて考えながら動いています。

     

それが、迷いのない一連の動きにつながっているのだと思います。

現場に限った話ではない

先を読む力や全体の流れをみる効果は現場の重機オペレーターに限ったものではありません。


オフィスワークでも家事でも、

 

「次に何をするか」が見えているだけで動きは止まらなくなり、


全体の流れが分かると、ムダな手戻りが減り、自然と効率も上がっていきます。

 

一つひとつの作業の意味や必要性を知っていると、優先順位が分かったり、応用も効くようになります。


これについては共感していただける方が多くいるのではないでしょうか。

 

熟練オペレーターの動きの美しさも、それが重機の上でオペレーターによって表現されているのだと思います。

まとめ:美しさは手と頭が生む

熟練オペレーターの動きは、

 

先を読む力(頭)とそれを形にする技術(手)、

 

その両方が積み重なった結果として生まれるものです。

 

重機は「手」だけで動かすものでも、「頭」だけで動かすものでもない。

 

その両方が揃ったとき、初めて美しい仕事になる。

重機オペレーターという仕事

ベテランの話を聞くたびに思います。


重機オペレーターという仕事は、ただ機械を動かす仕事ではない。

 

熟練の技術の本質は、手先ではなく、その頭の中にあるのではないか。

 

そして、

 

「そんなことまで考えているのか!」

 

その驚きこそが、現場の奥深さであり、ものづくりの面白さなのかもしれません。


きっと、知れば知るほど、見える景色が変わっていく仕事なのだと私は思います。


もちろん、最初から先のことまで見える人はいません。


ベテランの方々が長い年月をかけて学び、身につけてきたものだからこそ、その技術は簡単には手に入らず、魅力的に映るのだと思います。


そして図々しくも、私はそのベテランの頭の中を覗いてみたくて仕方がないのです。笑


いったい何を見て、何を考え、どんな理由でその動きを選んでいるのか。


それを少しでも探り出したい。


もし探り出せたら、「頭の中」シリーズとして皆さまにもお伝えできればと思っています。


ぜひお楽しみに!

 

 

 

筆:ひよっこ土木嫁

 

●ひよっこ土木嫁🔰の紹介

土木業界未経験で当社の役員と結婚し入社しました。現在は役員として会社の経営に関わりながら事務業務を担当しております。

 

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